おまけ スカートの中は?
ラァスの試合が終わり、彼がスキップしながら試合場を出た直後、唐突にアミュがつぶやいた。
「ラァス君って、ドレス着ている時はどんな下着はいてるのかな?」
「…………………………」
もっともな疑問にハウルは言葉に詰まる。
「ドロワースでもはいてるんじゃないの? まさか男物じゃないでしょ」
言いながらも、メディアの様子にはいつもの自信がない。自信がない彼女など大変に珍しい。
「カボパンかよ。色気のねぇ」
ハウルはドロワース──通称カボチャパンツをはく彼を想像した。
男のラァスには、ぴったりとしたショーツよりもドロワースの方がごまかしがきくだろう。もしもスカートがめくれた時も、誰も気づくことはない。
「カボパンの何が悪いのよ。色気がない? はいてちゃダメなわけ?」
「うん」
少女二人に非難の目を向けられ、ハウルは戸惑った。ちらと黒の下着を身につけていそうなヴェノムに目を向けると、彼女は一つうなずき言った。
「可愛いじゃないですか、ドロワーズは。私も娘時代にははいていたのですが、ウェイゼル様にそのドレスにはあまり似合わないと言われた私の気持ちがあなたに分かりますか? 本当は私もはいていたかったのです。でも、だったらこのドレスを着なさいと、丈の短いフリルがふんだんに使われたドレスを差し出され、泣く泣く諦めた私の気持ちは分かりませんか?」
ハウルは無表情で詰め寄ってくるヴェノムが恐ろしく、何度も何度も頷いて許しを請うた。
「まあ、確かに可愛いけどなぁ」
アミュなどがはいていれば可愛いのだが、男がはいていると思うと吐き気がした。似合うと分かっていても、生理的に気色が悪くなるのだ。
「ハウル君。そういうのは実際に見てみればわかることだろう」
ラフィニアと遊びながらカロンは言う。
なるほどもっともだと思い、ハウルはラァスの帰りを待った。
皆が息を飲み、ドアが開かれるのを待つ。
かちゃ。
今だ!
「ただい……きゃああ!?」
ラァスはスカートをめくられて、女の子のような声で叫んでスカートを押さえた。
「って、短パンかよ」
下着どころではなく、ただの三分丈のズボンだった。
「ちょっと、何するの!? エッチ!」
「いや、アミュがラァスのスカートの中身が気になったって言うから」
「あ、そーなの? こんな試合に出るんだから、中は薄手の服着てるよ。もしもの時困るし」
あっさりという彼を、カロンはうっとりと眺めていた。
ラァスの生足を見て、一番喜んだのは彼なのだろう。
策略にはまってしまった気がしないでないが、ラァスがそこまで男を捨てていないと言うことに安堵した。
「女装だけするときは、普通にドロワーズもはいてるけどね。万が一の時があるし」
前言撤回。
彼は自分の趣味のためなら男を捨てる奴だった。
あとがき
いや、なんとなくアミュはカボチャパンツだろうなぁって。
こちらバカの日限定ページのおまけ小説でした。小説以外のおバカな話題は本人すら忘れたので、残っている小説だけです。
ヴェノムはガーターがどうこうとか言っていたのだけは覚えています。
やはり美人のおねいさまはガーターです(ちょっと力説)。