番外編 1  愛をください おまけ

 

「私の分は?」
 当然のように言う樹に、大樹は首をかしげた。
「は?」
「ないのか?」
「うん」
 慶子のチョコレートを配布し終え、実は樹の分のチョコレートを食べながら大樹は言う。
「兄さん、日ごろからケイちゃん虐めすぎなんだよ。好きならせめて、ブスとかデブとか口にして言うのやめたらいいんじゃないかな。ケイちゃん傷ついて毎日筋トレしてるんだよ」
「何だと? それは由々しい事態だ……。そこまで思いつめていたとは……」
「そうだよ! 慶子さんのあの見事なバスとが減ったら……僕……僕……」
 メッセージカードを読んでいた真樹までもが会話に加わってきた。どんなに見た目が清純に見えても、兄弟とは結構趣味が合うものだ。
「樹。もしも慶子ちゃんのスタイルが崩れるようなことがあったら、父はお前をちょっと恨むぞ」
 親子も顔は似ずとも趣味は似るものである。
「はぁ。僕も慶子さんみたいな彼女見つけよっと」
「それがいい。父さんはお前を応援するぞ」
 娘が欲しい三人の父は、夢想して鼻の下を伸ばしていた。
 その背後には、大量に詰まれたチョコレートがある。
 甘党一家は、これらの半分を、自分達の胃袋の中に毎年処理している。残りの一部の手作りのものは捨て、さらに残ったものは使用人達に配るのだ。
 なんで男ばかりでチョコレートを食べているのだと思いながらも、大樹はその場の気楽な雰囲気に浸っていた。
 ひっきりなしに鳴っている携帯は、見ないことにして。

 
 

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